大阪府 奥なんば 浪芳庵 様
和菓子づくりに真の想いを込めて
大阪府 奥なんば 浪芳庵 様
井上文孝 社長 様
奥様である女将さん
今回は創業162年の老舗和菓子店の浪芳庵様の本店リニューアル工事に際し京都古材市場の古材や古建具、無垢フローリングや天然木一枚板などをご採用頂きました。
まず貴社のお店の生業について教えてください。
当社は安政五年に初代が大阪なんばにてお団子を出していたお茶屋さんで「河内屋」という屋号からの創業です。
そして明治に入り「浪芳餅」の屋号に変更したそうです。
現在、私で六代目となります。当初は江戸末期の幕末の大きな時代の変わり目の時代のスタートで数々の戦争を経て代々お店を守ってまいりました。
もともとのお店は歌舞伎座のすぐ近くに構えていました。
そして三代目のひいじいさんの時代には第二次世界大戦の際には大阪の空襲で全てを失いながらも希望を持ち続け和菓子作りには欠かせない砂糖やもち米は大変貴重で「ヤミ市」などで何とか仕入れ、大阪の人々の食の愉しみに貢献していたと聞いています。
私が物心ついてからは5代目の先代はバブル経済を切り抜け現在はもともと当社の工場であった現在の奥難波へ本店を移してまいりました。
古材を使った新しい本店のお客様の反応はいかがでしょうか?
女将
まずお店に入ってこられたお客様は天井の大きな古材梁を不思議そうに眺めながら「この建物は古い古民家を再生されたのですか?」と聞かれたりとかカフェのお客様からは「もともとはどんなお家だったのですか?」って質問されることが結構多いんですよ。
社長
何ともお客様がゆったりお店の内装、特に天井を這う大きな古材梁を見上げながらをゆったりと眺めながらこの空間を愉しんでいらっしゃる感じが私たちにも伝わってくるんです。
お菓子をお求めいただきそして今回新設した「つぎね」というカフェでお茶を飲んで頂きながらゆったりとくつろいでいただいているシーンを目にすることが多いです。
お客様が天井を見上げてられるということはこのお店の空間がきっと居心地のいいスペースになっているんだろうなって思うんです。
女将
そうですよね。私もそれは一番感じることなんです・・・。
今回の本店リニューアル工事では、
何故「古材」を取り入れてみようと思われたのでしょうか?
女将
私は常々、古い物には「魂」がこもっていると思うのですよ。
つまり「心」がこもっているんですよ。
歴史のある古材に職人さんがが手を掛けて、新たな「息吹」を宿らせるという考え方を大切にしたいと思います。
何より当社の歴史からも物語る様に「しっかりと繋いで継承してゆくこと」が重要だと考えています。
今回の工事でカフェで採用した、ヴィンテージな椅子やスピーカーなどたくさんの「想い」が詰まっており「生命」が宿っていると思っています。
「古材」もそうなのですが、何より「いいもの」には世代を超えて継承してゆくことが大事なのではないでしょうか?
例えば単に新しいものは日が経つと新品の際には感じなかった粗悪感を感じることがあります。
私は古い物に命を宿らせることで新しい時代に繋いでゆくということを大切にしたいと思います。
それは「和菓子づくり」への想いも全く同じなんです。
私は今の世代にもそんなことを伝えてゆきたいと思っています。
社長
私は古材をふんだんに使っている古民家に対して大きな憧れを持っていました。
当家の「160余年」の歴史の中で「古き良きもの」の素晴らしさ、そして創業時の想いを感じさせるかの建物にしたいという想いがあり「古材」をお店に積極的に採用したかったということが大きな理由なんです。
そもそも「木」が育つのに100年くらいかかって成長してきて民家で約100年、
そして今度は私たちがこれから更に大切に100年いや200年に渡って使い続けられる様にお客様やこのお店で働いてくれている社員のみんなにも「何か大切なこと」を
与えさせて頂ける場所にするためにどうしても「古材」を使ったお店にしたかったんです。
女将
目に見えるものだけではなくて決して「目に見えないもの」それは手間ひま懸けてきたことの大切さや人やモノに対しても丁寧に接する姿勢、それは古材に対しても同じだと思うのです。
特に古い木材である古材はこれまでたくさんのドラマを見てきたはずです。
「見えないモノ」はここへ座って「古材梁」や大きな「大黒柱」を眺めているとなぜ落ち着くのか?
そんなことを考えることが大事だと思います。
実際に京都古材市場の材料を採用されてみて
イメージ通りに仕上がりましたでしょうか?
女将
はい!イメージ以上のお店が完成しました。
単にウエブサイトから発注するのではなく、しっかり想いやコンセプトを小畑さんにお伝えをさせていただいたので想像以上の古材を納材していただきました!
私は本来、人間の知恵や想いとは私たちの現在の人間関係と同じだと思います。
何だか「古材」を眺めていると「人が本来大切にしている学ぶべきこと」を教えてくれる感じがするんです。
きっと目に見える部分はきっと「氷山の一角」なのかもしれませんね。
「古材が歩んできた歴史」について考えてみると、きっとこれまで「大冒険」をしてきたのかなあって想像してしまうんです。
それは単に自分たちが古材をお店に利用するだけに留まらずこの木材達と「これからも共存したい!」って思うんです。
やっぱり「想いのないお店ではいけないし、想いや気持ちこそを大切にしたい。だから古材を使いたかったんです。」
社長
私達が当初思っていた以上にご来店いただくお客様が喜んでいただけていることを知りました。
京都古材市場さんの皆さんには私達が思っていた以上の古材や木材の提案をしてもらって、私は「古材」のことがもっと好きになりました。
実際に京都の古材市場のストックヤードへ出向き実物を見て触れて創造を膨らませながらの楽しい計画でしたね。
古材をたくさん見せてもらって古材の事をたくさん知り大工さんに創り上げて頂いたんです。
そして光り輝くお店が完成したんです。それが新たな価値になりました。
更にはやはり「想いのある人達」と取引をさせていただいたことです。
古材を見て古愛の事を色々と勉強させられて色々考えさせられましたよ・・・。
これから新たにお店をオープンされる飲食店さんやお店のオーナーさんに
お勧めのポイントやアドバイスがあれば教えてください。
女将
京都古材市場の小畑社長のところに行って直接お話を聞いて感じてください!
電話やネット検索ではなく自分の伝えたいことを「インスピレーション」で感じて欲しいと思います。
そうするとそもそも創造していた以上のことを感じることができることでしょう。
私はそれに尽きると思います!そしてそのことがお店の繁盛へと繋がってゆくと信じています。
社長
今後建築予定のお店の現地を一緒に下見の見学をしてもらうことも大切だと思いますよ。
お互い歩み寄り、想いを伝え合うということが大事なんじゃないかなあ?
「こんな風にしてみたい。」「それだったらこんな古材をこういう風に使われてはいかがですか?」
という感じでのやりとりがいいお店を創り上げる秘訣だと思いますよ。
是非共に「古材」の素晴らしいと思える使い方を創造してみてくださいね!
本業のお菓子作りで大切にされていることを教えてください。
女将
和菓子づくりに「想い」を伝えることが私たちが一番大切にしていることなんです。
それがもしなかったら中途半端なお菓子しか作ることができません。
単に経験に対するアイディアが大切なのではなく和菓子屋を営み続ける想いを大事にしたいんです。
歴史に想いを載せて単にお菓子作りが職人の作業ではいけないんです。
「お客様に美味しい和菓子を召し上がっていただいたい」という純粋な想いを何より大切にして仕事をさせていただいています。
次回も「京都古材市場」へお願いしたいと思いますか?
私の死ぬまでのお店づくりの古材はお願いしたいと思っています。
それはやはり「想い」のある「古材」をお持ちの「京都古材市場」を運営されている丸嘉さんだからこそだと思います。
心を豊かに前向きに考えてということを大事にしたいといつも思っています。
あとがき
【御礼のごあいさつ】
今回、浪芳庵様の本店リニューアル工事に際し多くの古材梁、古材柱、古建具、店舗用フローリング、
天然木一枚板カウンターなどをご採用いただきました。
オーナー様である井上社長様ご夫妻は物事の本質を大切にしお客様を大切に想い、お店で働く従業員さんや古材や家具、備品に至るまで真剣に関わり感謝の気持ちを持って営まれている様子がひしひしと伝わってまいりました。
やはり創業から160年以上経ちこれまで幾度となく訪れてきた時代の変化にも強く乗り越えて来られた大阪なにわの商人の本物の本質を今回肌で感じさせていただきました。
それはとてもシンプルで両親や先生に教わったことの様な腹にスーッと落ちてくる内容でした。
この混沌とした時代の中でもまっすぐに王道を進まれる浪芳庵さんの姿勢に強く共感するとともに当社の想いを込めて買い付けた古材達の木の第二の人生(木生)として大阪浪芳庵さんに嫁がせていただいたことは古材屋として本当に嬉しく誇りに思います。
取材中お話しを聞いていて何度も目頭が熱くなりました。
今後、店舗の多角化を目指れる浪芳庵さんの前途繁栄を心から祈念しております。
ありがとうございます。
京都古材市場
株式会社 丸 嘉
代表取締役店主 小畑 隆正